散文詩 - 2025.06.12
- 556km
- 6月13日
- 読了時間: 1分
暗い夜道の隅っこに自分が落ちている
街灯の下、たかる虫の騒々しい中
混じって自分が舞っている
側溝の澱んだ水の中
そっと自分が覗いている
傾きかけた標識に
消えかけたグラフィティーに
夜間工事の音の中に
自分が潜んでこっちを見ている
嬉しくもなく悲しみもなく
寂しさもなく。
まして心を揺さぶることもなく。
わたしはそれを数えながら歩くのです。
部屋の灯りをつけると
乱れたシーツの端っこに
また落ちている
わたしはそれに腹を立て
噴き出す汗を撒き散らし
母の漢字を書き殴れば
書き順も遂に分からず
大きな声で泣いたのです。
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