それぞれの期限がついた私たちが、
いつ、どういう仕草をしてて、
それがどう正解だったかだなんて
そんなことを考えています。
ー高校生の頃、夏服から冬服(中間服なんて無かった)に変わるこの季節に、生活がどうしようもなく嫌になって、授業の毎時間に、ひとり家を飛び出す空想をしていました。
ひとり、知らない街に行って、最低賃金でもバイトをして暮らせば。
いくらくらいの家に住んで、いくらくらいの食費で暮らせば。
休み時間にクラスメイトが周りに集うあの子。もともと友達の。校則ギリギリのミニスカートに、指定のカーディガンを腰に巻いて、独特のニックネームでみんなを呼ぶあの子は。最近彼氏と別れたらしい。
楽器をひとつ持って行くとしたら、何を選ぼうか。
家族は怒るんだろうか。いや、怒るんだろうな。
アパートとマンションの違いって何だ。
携帯はしばらく我慢か。
というか、これは捕まるのか?
食費を削るのはちょうどいい、ダイエット中だから。
そう、どうか忘れてください。
誰よりも早く教室を出て帰る私に、ばったり会った英語教師が声をかける。
「あなたの笑顔がみんなを笑顔にするんや!笑わんと!」
今でも思う。私を笑わせるのは、誰だったんだろうか。何だったんでしょうか。ー
理由がもう一つあれば、私はすぐにでもあの街を飛び出して、
待ち受ける極貧生活から何かを見出していたのだと思う。
理由がもう一つあれば、あと一つあれば。
それをしなかった私が、今ここ自分の理由を探し続けていて、結局本質的には何も変わりがないことを知りながら、過去と今の自分と、消費していく期限と向き合う。
強くなったのか、鈍くなったのか、わからないまま、時々、理由らしいものを見つけそうになりながら。
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